悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 取り繕った笑みを浮かべると、父はレオンティーナの視線を追った。高い塔に気付くと、レオンティーナの気をそらすように話題を変える。

「ヴィルヘルム殿下はお優しいお方だから、そんなに緊張しなくてもいいんだよ」
「あら、私は緊張なんてしていません」

 きっと、あの塔は何なのか今はまだ問われたくないのだろう。レオンティーナとしても、あの塔での生活を思い出したいわけではなかったから、正面に座る父に意識を向けた。
 ヴァスロア帝国皇帝は、今日は忙しいということでレオンティーナとの面談はかなわなかった。

(いきなり皇帝陛下と顔合わせなんて言ったら、緊張したかもしれないわね)

 前世でレオンティーナが初めて皇帝に目通りしたのは、アンドレアスとの婚約が調った頃のことだ。十二歳になっていただろうか。
 もちろん、それ以前に公式の場で顔を合わせることはあったけれど、皇帝がレオンティーナを一人の個人として認識できる場で会ったのはそれが初めてだったのだ。

(大国の皇帝となると、子供にはいちいち時間を合わせていられないってことよね)

 でも、それでよかったような気がする。
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