悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～

　前世のレオンティーナが興味を持っていたのは、「どこの家の令嬢が、どんな宝石を買ったか」とか、「どこの家の奥方が、どんなドレスを買ったか」という程度のものだった。
　帝国皇妃たるもの、ファッションリーダーでいなければならなかったから。
　それに付随して、某侯爵家の領地では、美しいオパールが産出されるだの、海の近くにある某子爵家の領地では真珠が特産品だの――美しい服地と言えばどこの領地などなど自分の身を美しく飾る品々に関する知識だけはあったものの、それ以外についてはすっぽりと抜け落ちている。

（今回は、前世と同じ失敗を繰り返すわけにはいかないんだから）

　まずは基本知識のおさらいだ。皇帝一族と三大大公家の関係について。
　三大大公家は、ヴァスロア帝国初代皇帝の弟達が、それぞれ妻の家に婿入りをして立てたものだ。家系図をたどれば始祖につながるため、三大大公家の人間にも皇位継承権はある。
　血が濃すぎるのもよくないし、薄すぎるのもよくないからと、三大大公家の結婚については、厳密に審議が重ねられる。父が母と結婚できたのは、例外に近い扱いだ。