悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 自分が再び八歳の誕生日を迎えた理由は気になるが、今は、朝食を乗りきる方が先だ。両親の様子も確認しておきたい。
 着替えを終えてから、朝食の席へと降りて行った。
 ヴァスロア帝国には、皇家であるフェルゼンシュタイン家と、それを支える三大大公家が存在する。ヴェルテ家、シャンテール家、バルダート家の三家だ。
 そして、レオンティーナは、バルダート大公家のひとり娘であった。
 現バルダート大公の名はギュンター。大公夫人はエレインだ。二人が結婚したのは十年前だった。
 だが、夫婦仲はレオンティーナが物心ついた頃には冷え切っていた。
 レオンティーナの知る両親は、めったに顔を合わせることはなかった。たまに顔をあわせた時は常に口論で、幼い頃は部屋に隠れて泣いていた。

(……なんで、冷え切っていたんだったかしら)

 もう両親は朝食の席についていて、テーブルには焼き立てのパン、卵料理、サラダ等が並んでいる。

「おはようございます、お父様」
「ああ」
「おはようございます、お母様」
「おはよう。早くテーブルにお着きなさい」

 両親に挨拶をするものの、ふたりともこちらに注意を向ける気配はない。
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