悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 ヴィルヘルムひとり書棚まで往復させるのはあまりにも図々しい気がしたので、書棚まで案内することにする。

(優しい人ではあるのよね、優しいだけの人だったけど)

 並んで歩きながら、ヴィルヘルムに対して容赦なくそういった結論を下した。
 異母弟のアンドレアスと比較したら、ヴィルヘルムには『優しい』という言葉がぴったりだ。だが、それだけ。
 飢えた民を心配するのは皇族として正しいふるまいかもしれなかったけれど、よりによってアーシア王国と近づいてしまった。
 ヴィルヘルムの行動がなかったら、国の滅亡まではもう少し時間を稼ぐことができたかもしれない。
 なんて、今考えてもしかたのないことではあるが。

(優しいだけじゃ、だめ……なのよね)

 レオンティーナは、そう結論づけたのを思い出した。
 ヴィルヘルムがもう少ししっかりしていたら、レオンティーナが自ら皇位につこうなんて考えなかっただろう、きっと。
 静まり返っている図書館内の空気を壊さないようにしながら、それでもヴィルヘルムは迷うことなく口を開いた。

「――君は、何のためにここに通っているんだ? わざわざ、侍女まで連れて」
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