悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 どうやら、ヴィルヘルムの味覚は、まだまだ子供のようだ。

(……それはそうよね。まだ十歳だもの)

 レオンティーナの二歳年長であるヴィルヘルムだが、冷静に考えればまだ十歳だ。子供らしいというか完全に子供である。

(いやね、私ってば――ずいぶん年をとったみたい)

 子供としての振る舞い方がよくわからない、だとか。ヴィルヘルムが年下に感じられる、だとか。
 死んだ時の記憶があるというのもなかなか厄介なようだ。

「蕎麦粉がとれるから、おいしいガレットを食べたいと思った時は、北の方に旅行に行くのがいいと思うんです」

 真顔になって、レオンティーナは力説した。
 ヴィルヘルムは驚いたような顔になる。それから、手を口に当て、声を噛み殺しながら笑い始めた。

「君は、面白いことを言うね――たしかにそうかも」
「馬鹿にしているの?」

 目の前で笑われて、さすがのレオンティーナもむっとした。
 いくら年下と言えど、笑いものにされて面白いはずはない。いや、今はレオンティーナの方が年下ではあるけれど、精神的にはレオンティーナの方が上だ。

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