悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「今日の夜、レオンティーナの誕生日を祝ったら、明日にはロアに戻るよ」
「かしこまりました」

 朝食の席での会話だというのに、なんだかとても空々しく感じられる。
 幼い頃は、この空気に気付かなかったけれど、今のレオンティーナは気づいてしまった。

(……私とアンドレアスの間にあった空気と似ているわね)

 両親は政略結婚であった。
 ヴァスロア帝国の三大公家は、皇家と定期的に縁組みを持っている。それは、皇帝一族の中に適当な皇位継承者が生まれなかった場合、三大大公家の中から新たな皇帝を立てるためだった。
 レオンティーナはひとり娘であるが、いずれは皇帝一族の誰かに嫁ぐ可能性が高い――というのは、物心ついた頃から何度も言い聞かされてきたことだった。

(だから、アンドレアスに嫁いだのよね……いい夫とは言い難かったけれど)

 なんて、余計なことまで思い出してしまう。
 アンドレアスは押し付けられた妻であるレオンティーナには興味を持たなかった。初夜の床には来ず、愛人達と騒いでいた――なんてことを思い出してしまって、ムカムカしてくる。
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