悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 両親の間にある重い空気は、報われなかった結婚生活を思い出させた。
 こんな中では、食欲なんてわくはずもない。
 レオンティーナは、皿の上に出されたものを無理やり呑み込み、頃合いを見計らって席を立つことにした。

「ごちそうさまでした。お父様、お母様。私はお部屋に失礼しますね」

 両親も、食事を終えたレオンティーナが席を立とうとするのまではとめなかった。
 自分の部屋に戻り、窓際に置かれているソファに腰を下ろしたレオンティーナは深々とため息をついた。

(生き返ったのはいいけれど、なんで、八歳の誕生日当日なのよ……!)

 今の両親の会話にも聞き覚えがあった。
 八歳の誕生日。それは、幼少期の中でも、最悪な思い出のうちのひとつだった。
 夕食は家族で豪華な食事をすることになっていたが、その席で両親が激しい口論をした。その場にいることなどできるはずもなく、レオンティーナは食事を中断し、泣きながら部屋に戻ったのだ。
 その翌日。父は、レオンティーナの顔も見ないまま、ロアに向かって出発。一年後、九歳の誕生日まで顔を合わせることはなかったのである。

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