悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 けれど、今は青年と言った方がしっくりくる。彼が成人したということを改めて突き付けられたような気がして、レオンティーナは動揺した。

(なんで、こんなに顔が熱いのよ……!)

 領地で過ごしたあの夏の思い出が、脳裏に一気に蘇る。
 もっと親しく呼んでほしいと請われた時の声。
 母の出産を待つ間、レオンティーナの手を取ってくれた彼の手の温かさ。

(声も、こんなに低くなかった気がするの……!)

 ヴィルヘルムの艶を帯びた声は、レオンティーナの記憶にあるよりも低いものだった。
 顔が熱くなって、心臓がドキドキ言い始めて。言葉もなく、ただ、彼が近づいてくるのを見ていた。

(……しっかりしなさい!)

 心の中で自分自身をしかりつけ、レオンティーナは改めて頭を下げる。優雅な仕草を心がけていても、彼の前では難しかった。

「……連絡くらいくれてもよかったのに」
「ヴィルヘルム様は、お忙しいんじゃないかと思ったんです」

 顔を見ることができずに、もごもごとそれだけ口にした。
 たしかに大人になれば変わるのだろうと思っていた。けれど、こんなにも変わるとは思ってもいなかったのだ。

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