悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 父との会話は、満足すべき結果に終わったけれど、 夕食の席、レオンティーナはひとり憤慨していた。

(……まったくどうなっているのかしら、この夫婦は!)

 とはいえ、それを表に出すわけにはいかないこともわかっている。それは、処刑されるまでの間ひとりの女性として生きてきた経験から得たものだった。

(――変なの)

 夕食の空気は非常に重苦しいものだった。いや、これを重苦しいなんて言葉で片付けていいものやら。

「明日にはロアにお戻りになるのでしょう?」
「――ああ」
「妻と娘を放置して、いい御身分ですこと」

 母の言葉はツンツンしている。それに対して、父は顔を上げようともしない。このふたりの力関係は一体どうなっているのだろうか。

(……お母様は、ヴェルテ大公家の出だったわよね、たしか)

 ヴァスロア帝国にある三大大公家は、ひとまとめにして三大大公家と呼ばれているが、その中には明確な序列がある。
 ヴェルテ大公家、シャンテール大公家、バルダート大公家という順だ。つまり、バルダート大公家は、大公家の中でも末席ということになる。
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