悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 甘えた仕草で、父の腕に身体を回した。

(……温かい。お父様は、ここに生きている)

 前世では、父とは疎遠になっていた。
 反乱軍に殺されたらしいということしか聞いていなかったのだ。
 前世では、父の死を聞いてもさほどショックではなかったけれど、今は、この体温が失われていないことに安堵する。

「そうだね。それならば――今の家庭教師の先生に学ぶべきことを学んでからだ。一度にたくさんのことは詰め込めないからね」

 けれど、父の答えはレオンティーナの望んでいたものとは違っていた。すぐに家庭教師をつけてくれると思っていたのに。

(……でも)

 それならば、勝算はある。
 女性として学ぶべきことをきちんとやったら、新たな家庭教師をつけてくれるというのだから、父との交渉は成功と言ってもいい。
 前世では、国最高の淑女と呼ばれたほどだ。女性として必要なことくらい、すぐに学べるだろう。
 ――あとは、家庭教師にレオンティーナの実力を知らしめるだけだ。
 至高の座につくためならば、なんでもできる。
 

< 29 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop