悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 皇妃の侍従ならば、皇宮内にいても不自然ではない。皇宮内でレオンティーナを襲おうとしたならば、適切な人選と言えるだろう。

「――ヴィルヘルム様ってば、めちゃくちゃだわ!」

 思わずレオンティーナは声を上げた。
 皇妃の侍従をずるずる引きずる筋力もめちゃくちゃだが、このまま皇妃の部屋に突入しようというのだからめちゃくちゃだ。

「――こうしないと、父上を納得させることはできない。君の家に怪しい人物が逃げ込んだと通報してきたのは、君の呼んだ医師だしな。君の両親の信頼を得ることで、母上に大公家の情報を流していたんだ。」
「でも、先生がまさか……」

 そう返してから気づく。たしかに、あの医師は、皇妃が紹介してくれた。
 そこに気が付かなかったのは、レオンティーナのミスだ。あの人は、信用できると思っていたのに。
 皇妃の部屋に突入したヴィルヘルムは、皇妃の前に侍従を放り出した。
 今日のパーティーには参加せず、皇妃と過ごしていた皇帝は、ため息をついた。

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