悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「――父上。これでお判りいただけますか。レオンティーナを襲撃した者のうちのひとりです。この者は、母上の侍従として皇宮に入り込んでいました」

 ヴィルヘルムの話によれば、この侍従は正規のルートで雇われた者ではないらしい。皇宮内をあちこち歩き回り、情報を集める役目を負っていたそうだ。

「皇妃直属の暗殺部隊、今頃は俺の騎士達が捕らえているでしょう」

 ヴィルヘルムの言葉に、皇帝は嘆息して額に手を当てた。

「――そなたは、なんてことをしてくれたのだ」

 皇帝の言葉に、皇妃は唇を引き結んだ。今は、余計なことは話すまいと決めているようだ。
 皇帝は、レオンティーナの方に向き直った。

「レオンティーナ・バルダート。妻が、皇妃が……申し開きのできないことをした。謝罪する」
「――なぜ、私だったのですか?」

 レオンティーナは、皇妃に向かってたずねた。

「なぜ、皇宮で私を襲ったのですか?」
「そなたが悪いのよ。私の邪魔ばかりするから。今回だって、アーシア王国の仕業に見せかける手はずは整っていたのに」
「――そなたは!」

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