悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「庶民には十分でございますよ、お嬢様。簡単な算術ができれば、あとは商家で教えてもらえますから」

 これも嘘だ。ソニアは読み書きができないと言っていた。
 だから、他の人がやりたがらなかった仕事、悪女な皇妃と呼ばれたレオンティーナの世話係を押しつけられた。生きていくためにはそうするしかなかったのだ。
 牢にいるレオンティーナに親切にしてくれたのは、ソニアが善良な人間だったから。
 そしらぬ顔をして、レオンティーナはなおも問いを重ねた。

「子供達は、どんな遊びをしているの?」
「晴れた日は、中庭で、鬼ごっこや縄跳びをしていることが多いでしょうか。あとは、ボールを投げたり、蹴ったり。雨の日は、絵を描いたり絵本を読んだりして過ごしています」

 日頃は労働を強いられているけれど、視察の時だけは遊ぶことができた――これも、ソニアの言っていたことだ。
 様々な部屋を案内してもらいながら、レオンティーナはあちこちに目を配る。

(……絵本などは置かれていないようね)

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