悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「この養護施設はよくやっているよ。施設長、思い立ってきてしまってすまなかったね。二日前では急だっただろうに」
「とんでもございません。我々は殿下をいつでも歓迎させていただきますとも」

 施設長は、レオンティーナに見せた以上の笑みを浮かべてヴィルヘルムにこたえた。ヴィルヘルムは嬉しそうな表情を見せたけれど、レオンティーナは内心あきれていた。

(二日前で急に思い立ってきたということになるなんて……普段は、どれだけ前に連絡しているのよ)

 何日も前に視察の連絡をするのであれば、ソニアが言っていたように取り繕うだけの時間は十分ある。

「少ない額ではあるけれど、寄付金を持ってきた。子供達のために使ってやってくれ」
「ありがとうございます。子供達も喜びます」

 少ない額――と言いつつ、差し出された革袋は、ずっしりとしているようにレオンティーナの目には見えた。

(あれだけ寄付があるのなら、カメオくらいは買えそうね)

 繊細な職人の手に寄って細工を施されたカメオは、庶民の持ち物としてはかなり高価な品なのだ。
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