悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く～破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます～

「でも、施設長が、私は……何もできないからすぐ首になるって」
「――馬鹿なことを言わないで。だって、あなた私の下で働いたことないじゃないの」

　そう問いかければ、ソニアはぴたりと泣き止んだ。まだ涙で濡れている目が、じっとレオンティーナを見つめている。

「……初めてのことなんだから、初日からうまくいくはずないわ。そうだ、そこにある本を取って」

　テーブルの上に用意しておいた絵本を指さす。ソニアはこわごわと指示された絵本を手に取った。

「まずは、その絵本を読んでくれる？　私、朗読を聞くのが好きなのよ」

　施設長は読み書きは教えていると言ったけれど、ソニアは読み書きはできなかった。
　前世と違いがあるかもしれないから、たしかようと思っただけで意地悪をするつもりはない。
　けれど、ソニアの目からはまた勢いよく涙がこぼれ始めた。

「あー、もう。泣かないで。読めないのね？」

　レオンティーナは、ソニアにハンカチを差し出した。ソニアが受け取らないので、レオンティーナがソニアの目元にそのハンカチを押し付ける。

「どうして、知ってるんですか？」