悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 今、ソニアが身に着けているのは、大公家の使用人全員が身に着けている制服だ。
 基本的なデザインは皆同じで、黒と白を基調とした動きやすいものだ。品質にも気を抜かず、養護施設の長が着ているものよりも上質な品だった。
 地位が上がるにしたがって、襟や袖口にレースがついたり、エプロンのデザインが華やかなものになったりと少しずつお洒落になっていく。
 また、ソニアのような新入りは黒一色しか与えられないけれど、仕事ぶりを認められ出世すれば、茶色や灰色も加わる。さらには、ブローチや耳飾りなど、仕事の邪魔にならない程度ならば、多少の装飾品も許されることになる。

「は、はいっ、そ、そうですね……はい、あの……そのぅ……」

 今、そんなに難しい質問をしただろうか。レオンティーナは首をかしげてしまった。

「あのね、私が言いたいのは――」
「ごめんなさいっ、首にしないでくださいっ!」

 言葉を重ねようとしたとたん、ソニアは目からぼろぼろと涙をこぼして訴えかけた。

(く、首って……!)

 いきなり首だなんていわれても、レオンティーナの方が困惑してしまう。

「首になんてしないわよ」
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