僕の1番大切な人【リニューアル版】
『さあ、とにかく入って』


姉さんは、突然来た僕を、嫌がらずに招き入れてくれた。


『ブイヤベースってね、魚介の出汁が出てすごく美味しいスープなの。私の得意料理』


『得意料理か、美味しそう』


『凌馬君、食べてってね。得意料理なんて自分でハードルあげちゃったから、頑張って作らないとね』


姉さんは、食材を冷蔵庫にしまっている。


僕は、その姿に、ドキドキしてる。


兄さんは、姉さんのこんな姿を見ても、きっと、何も感じないんだろう。


当たり前の光景って言うだけで…


でも、僕には…


そんな姉さんが、まぶしくて、綺麗で、可愛くて…


このまま…


何もかも無くす覚悟で、姉さんを抱きしめたい。


そんな、だいそれたことを考えてしまった。


その気持ちを姉さんに悟られないようにと、僕は必死で携帯に目をやった。


何も感じてないよ…


って…


そんな風に見せるために。


ねえ…


姉さん…


僕の気持ちは、ちゃんと隠せてるのかな…
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