さよならが言えなくなるその前に
年下の男の子ときどきオトコ
ゆうじくんが運転していて、
もう一人マコトくんかな?
助手席に座っている。
静かな車内。
この人たち、みんな見てたのかな?
さっきの醜態…
いや、恥ずかしいし。
何か…
あれよあれよと
翔輝のうち行くことになったけど…
ほんとに、いいのかな。
しかも、メッチャ…緊張するんですけど。
大人なのに
何だよ。この緊張
ううー。
車は地下駐車場に入っていく。
こんなとこ?
家なの?
高級マンション。
行先はその最上階ですか。
大きなエレベーター
やだ、やっぱり緊張する。
エレベーターの前でゆうじくんたちが
おじぎする。
「…つかれっす」
◯クザか!
ていうか、え。
「ゆうじくん。
ゆうじくんたちは来ないの?
ほら、何か…あるかも」
エレベーターの開 ボタンを優香の指が
焦ったように押し続ける。
「私いるし、みんなきたら?」
苦し紛れに、言ってみる。
は?って
困った顔のゆうじくん。
「ね?ゆ、ゆうじくん」
「お前、
ふざけんなよ」
翔輝の低い声。
グイ。
後ろから翔輝の腕に引き寄せられる。
「ゆうじ、ゆうじ
うるせんだよ」
バックハグされて、真横に翔輝の顔。
「キャ。
ちょっと、何もしないって」
翔輝の硬い胸の感触に思わず
少女みたいな声が出る。
「こんなこと、
何かしたに入るか。」
苦笑いのゆうじくんたちを残して
エレベーターのドアが閉まった。
上昇するエレベーター。
私の心拍もかなり上がっている。
何でよ〜!
無言の叫びが優香の心の中で響いた。