となりの一条三兄弟!
「っていうかずっと思ってたんだけど、お前さ……」
なにを思ったのか、いきなり聖が私に近づいてきた。ビー玉のような瞳でじっと見つめながら、一歩また一歩と距離を縮めてくる。
「ななな、なに?」
ついにはガタッと、私の足はダイニングテーブルの角で止まった。
逃げ場がなくなった私は聖に詰め寄られるのを受け入れるしかなくて、また心臓が速くなってくる。
ゆっくり、確実に、聖の顔が近くなっていく。
期待をしてるわけじゃないけど、条件反射で目を閉じてみた。そして……。
「なんかくさい」
「え゛……」
予想外の言葉に、私は肩の力が抜ける。
鏡がないから確認しようがないけど、絶対にショックを受けてる顔をしてしまってると思う。
「く、くさいって、私が?」
「うん」
慌てて自分の体に鼻をつけて匂いを嗅いだ。洋服は洗剤の香りがするし、汗もかいてない、はず。もうショックすぎて涙目になっていると……。
「いや、そういう意味じゃなくて、お前からイヤな匂いがするというか……」
「イヤな匂い!?」
それってやっぱりくさいってことじゃん!
ひとりで落ち込んでいると、聖は困った顔でポリポリと頭を掻いていた。
「……まあ、いいや」
私の気持ちも知らずに、一方的に話を終わらせてしまった。