エリート御曹司が花嫁にご指名です
「そんなところです。明日、両親に話をして、結納、結婚を進めさせていただきたいのですが」
「もちろんだよ。汐里も二十八歳だ。いつまでも家にいては困る。どんどん話を進めてくれ。いやー、めでたいな。頼りになる婿ができるとは。母さん、酒にしよう。優成くんも一緒に飲もう。壮二もどうだ?」
「お父さん、優成さんは車よ?」
 
 早速立ち上がって、洋酒のボトルが並んでいる棚の前で選んでいるお父さんに声をかける。

「汐里の部屋に泊まればいいだろう」

 客間もあるのに、そんなことを言われて急激に顔が熱くなっていき、両手を頬に当てる私だ。

「お、お父さんっ!」
「なにを恥ずかしがっているんだ?」

 上機嫌のお父さんは口元を緩ませて、私をからかう。

「父さん、しおりんが困っている。客間だって、尊兄さんの部屋だって空いているだろう? 俺の部屋でもいい」
「おっ! これがいい。とっておきの一本だ。母さん、グラスを出してくれ」

 お父さんは棚から、まだ開けていない値の張る洋酒を手にして戻ってくる。

 そして、「壮二、なにを言っている? 婚約者同士を引き離すとは、無粋というものじゃないか」と、壮兄に向かって顔を顰めた。

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