エリート御曹司が花嫁にご指名です
「私の花束は奥さまにと思って」

 優成さんは私が抱える荷物を受け取り、後部座席に置いてくれる。

「汐里、もう『奥さま』はおかしいな」
「……では、お義母さまに」
「それでいい。それは家に置いてきて」

〝それ〟とはバラの花束。

「はい。少し待っていてくださいね」

 私は優成さんから離れ、花束を置きに戻った。


 白金台にある桜宮家の豪邸に、優成さんはご両親と住んでいる。

 私が仕事以外でここを訪れたのは、華さんがまだ日本にいる頃で、ずいぶん久しぶりだった。

 仕事で寄らせてもらうときも、お義母さまはいつもねぎらいの言葉をかけてくれていた。

 おっとりとした優しい人で、良妻賢母がピッタリの雰囲気のお義母さまだ。

 同伴が決められているパーティー以外、表舞台に立たない女性だった。
 
 内助の功があっての桜宮家だと、私は思っている。

「汐里さんっ! いらっしゃい」

 庭師によって美しくカットされた樹木がある前庭を通り、着いた玄関前に、お義母さまが待っていた。

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