エリート御曹司が花嫁にご指名です
「書類を届けさせるために、汐里を秘書室へ行かせているわけじゃない」
「ちょうど仕事が区切りでしたし、私が行っても構わないと思いました。宮本さんがいますし」
「君は俺の第一秘書だ。訓練部へ行く暇があったら、別の仕事をしてほしい」

 優成さんの言い分は横暴で、私は苛立ちを覚える。

「私は、じきにここを辞める人間です。そのために宮本さんがいるんですから。訓練部へ行ってはいけない理由でもあるのでしょうか?」

 西尾さんの件でわだかまりがあって、ついきつい口調になってしまった。

 優成さんは席を立ち、執務デスクを回って、私のほうへゆっくり歩を進めてくる。無表情で、なにを考えているのかわからなくて、不安になる私だ。

 私の前に立った優成さんは首を傾けて、じっと見つめる。

「どうした? イラついているようだな」

 頬に手が触れ、そっと撫でられる。そうされると私は弱い。そうでなくても、言いきってしまってから、言いすぎたと後悔している。

「……なんでもありません」

 無意識にお腹に手を置いた瞬時、優成さんは「女性特有の日だから?」と察する。

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