エリート御曹司が花嫁にご指名です
「十八時に予約しておくからな」

 今日はどうしてもピザが食べたいらしい。

「わかったわ。壮兄のおごりだからね?」
「OK。いつもそうだろう? 好きなだけ食べていいよ」

 振り返ると、私の機嫌を損ねた壮兄はニヤニヤ笑っていた。



 七月も今日で終わる。
 
 最終週の月曜日は桜宮専務の会議が五つも入っており、忙しくて気が抜けない。

 会議には経営戦略課の部長や課長クラスに、社長や重役たちも含め、それぞれの秘書なども出席するので、二十四階の大会議室になる。
 
 その後、ランチミーティングを挟み、各所の会議室へ移動するスケジュールとなっている。

「おはようございます」

 九時に始業時刻の桜宮専務の出社は、八時三十分。私は十分ほど早めの到着を心がけて出社している。

 桜宮専務の出勤時刻よりも遅いからといって、文句を言われたことはないけれど、完璧な秘書を目指している私は、彼よりも早い出社と決めていた。

「おはよう」

 桜宮専務は、執務室に入ってまっすぐ自分のデスクへ向かう。そんな上司の左手を私は目で追う。まだ包帯は巻かれていた。

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