エリート御曹司が花嫁にご指名です
「朝陽さんが結婚して、『俺も』ってならないの?」

 話をしているうちに、持っていたカップのチョコミントが溶けかけていることに気づいて、急いで口に入れる。

「ならないね。ごちそうさん」

 壮兄は呑気に言ってのけ、食べ終わったカップをキッチンへ持っていった。

「お前は焦っているのか?」

 戻ってきた壮兄にふいに聞かれ、ハッと顔を上げる。真剣なまなざしで見つめられ、瞳を逸らしたくなった。

 私の恋愛話なんて、兄妹でしたくないし。

「女の二十八歳って、複雑なの」

 ドサッと隣に腰を下ろし、壮兄は肩をすくめる。
「まだ二十七だろ? 俺が面倒を見てやるって言ってるんだし? 『年齢が』って言っていると、妥協で結婚しかねない。そんな結婚なんていいことないさ。俺が認める男じゃないと許さないからな」

 笑いながらたたみかけてくる壮兄に、重いため息が漏れそうになるのをグッと堪えた。

「あと一週間も経たずに二十八よ。俺が認める男って、誰を連れてきてもそんな気はサラサラないでしょ。少し疲れたから部屋で休むわ」

 金曜日、私はひとつ年を取る。今まで年齢のことなんて気にしていなかったのに、最近は頻繁に頭をよぎり、焦燥感に駆られる。

 すっくと立ち上がり、ドアへ向かう私に声が降ってきた。

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