エリート御曹司が花嫁にご指名です
 少しして落ち着いた趣のあるどっしりした建物の高級ホテルのエントランスにタクシーは到着した。

 ベルボーイが後部座席のドアを開け、外に出ると寒さにぶるっと震えがきた。

 やっぱり寒いわね。

 急いでホテルの中に入り、チェックインカウンターへ足を運ぶ。

 チェックイン後、ツインルームへ案内され、ようやくどっしり腰を下ろすことができた。

 そこでずっと見ていなかったスマホに電源を入れた。日本時間は月曜日の朝九時を回っている。

 電源を入れた途端、優成さんからの着信は無数にあり、メールも入っていた。

 彼には日本を出発間際、【結婚は間違っていると思います。少し考えたいので、留守にします。退職願を受理してください。私が秘書室で使っていたデスクの引き出しに入っています】と書き記してメールを送っていた。
 
 優成さんからのメールを読むのが怖くて、再び電源を落とし、ベッドに横になった。


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