エリート御曹司が花嫁にご指名です
「どうしてなにも言わない!? なぜ我慢して身を引こうとするんだ!? 子供が欲しいんだろう?」
「……優成さんが幸せじゃなければ嫌だったから」
「汐里がそばにいてくれなければ、幸せじゃないのに?」

 抱きしめていた腕の力を緩め、優成さんは私の顔を見つめる。

「それは……?」

 私がそばにいなければ幸せじゃないって……? どういうこと……?

「俺は君を愛している。それに気づいたのは、汐里に退職願を提出されたときだった。気づくのが遅くて、時間を無駄にしてしまった。いつの間にか、汐里は俺になくてはならない存在だったんだ」

 私を愛している……?

 頭の中で優成さんの言葉を反復してみる。

「君が俺を愛してくれるまで気長に待つし、愛してもらえるように努力も怠らない」
「えっ?」

 私は真顔になってから、優成さんから視線を泳がせる。

 優成さんは、私が彼を愛していないと思っていたの?

「汐里? 俺を男として見られないのか? 上司もしくは兄のようにしか見られない?」
 
 焦る表情の優成さんに、ふふっとお腹から笑いが込み上げてきた。

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