エリート御曹司が花嫁にご指名です
「なぜ笑う?」
「なぜって、私はずっと優成さんを愛していたんです。もちろんその気持ちは、壮兄へのようなものではないです。男性として、異性として、愛していました」

 優成さんの言葉に勇気づけられて、今まで隠し続けていた自分の心のうちをさらけ出した。

「愛していました? では、今は? 結婚を考え直すようにメールに書かれていたよな?」

 自信家の彼の、こんなに不安そうな瞳を見たことがなかった。

「もちろん、今もです。優成さん以外に惹かれる男性なんていませんでした。私のほうこそ、優成さんは赤ちゃんのためだけに結婚してくれるのだと思っていました」

 顔を覗き込んで、真摯な表情で尋ねる優成さんに、今度は私からギュッと抱きつく。彼の胸に頬を置き、心臓が痛いくらいに暴れ、苦しい呼吸を整える。

「俺は赤ん坊が欲しいから協力したんじゃない。汐里を愛しているからだ」
「優成さん……でも……私は、聖くんからパパを取り上げることはできない……」
「聖くんを俺の子供だと思ったのか。あの子は俺の子供じゃない。後で看護師から聞いた。聖くんが俺のことを『パパ』と呼んだとき、汐里があの場にいたと」
「こ、子供じゃない? でも、パパって……」

 私の頭は混乱している。安堵感、嬉しい気持ち、でも本当なの?という疑惑などで。

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