エリート御曹司が花嫁にご指名です
 翌日は出社後、社長の社用車と桜宮専務の愛車の二台で、羽田空港のAAN社屋へ赴く。

 桜宮専務の車は、流線型のラインが美しい深緑のドイツ車。運転技術に長けている彼の隣の助手席に、私は座っている。

 桜宮専務は社用車よりも自分で運転するほうを好み、同行する私も頻繁に乗せてもらっている。

「社長は砂羽さんに会いたいんだろう。彼女のローテーションは調べ済みのはずだ」

 プライベート以外で、桜宮専務は『社長』と呼ぶ。普段は『親父』と。

 パイロットで御曹司の夫がいるにもかかわらず、砂羽さんはまだグランドスタッフとして勤務していた。

 明るく働き者のお嫁さんで、社長夫妻から大事にされている様子。彼女をふと羨む気持ちが芽生える。

 私も嫁ぎ先で、彼女のように大事にされたい。でも、そんなことを考えるのは早すぎるわね。まだ相手もいないのに。

「砂羽さんは素敵な方ですので、社長が可愛がるのも無理はありません」

 車はAANの駐車場へ入るところだ。助手席から後ろへ顔を向け、社長の社用車がついてくるのを確認した。

 駐車スペースに車が停められ、車外へ出ると、社長と桜宮専務が並んで歩き、私と三和子さんは後ろからついていく。

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