エリート御曹司が花嫁にご指名です
「あ! そうだ! 優成さん、聞いてくださいよ。しおりんが見合いをするんですよ!!」
「見合い? 誰が?」
「誰がって、今言ったじゃないですか。しおりんですよ!」

 首を小さく傾げる桜宮専務に、壮兄は焦れたように言って、唖然となっている私を睨む。

 驚いた様子で二の句が継げないような桜宮専務に、鋭い視線を向けられ、身の置きどころがない。

「そ、壮兄! なんで言うのっ!」
「汐里が見合い?」
「そうなんです。自分から父にお見合い相手を探してって頼んだんですよ。しおりんが、見合いでしか相手を見つけられないやつに持っていかれるなんて考えられない!」

 私だって、お見合いでしか相手を見つけられないんですけど……。

「汐里、海外へ行って自分を見つめ直したいんじゃなかったのか? だから辞めたいと」

 刺すような視線を向けられて、じりっと一歩二歩、後退する私だ。桜宮専務の問いに答えることができない。

「ええっ!? しおりんがそんなことを? それに会社を辞める? 聞いてないですよ」

 夏季休暇明けにいろいろ聞かれるのは、まぬがれないだろう。もう開き直るしかないわ。

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