俺と、甘いキスを。
昼休みを五階の資料管理室で過ごした私は、午後からは右京研究室へ行くことを事務長に話して、スマホと筆記用具を持って事務所を出た。
建物を出るには、峰岸真里奈がいる受付を通らなければならない。顔を合わせたくない人物だが仕方ないと割り切って、
「お疲れ様です」
と言いながら、通り過ぎようとした。
「川畑さん、右京研究室に行くんですか」
と、彼女が勘ぐるように聞いてきた。
「そうです」と言うと、完璧にアイメイクした峰岸真里奈が目を吊り上げて睨んできた。
「右京さんに、ちょっかい出さないでくださいね」
受付カウンターで立っているにも関わらず、頭にツノが見えそうな形相に小さく息を吐いた。
視界が玄関の自動ドアが開くのを捉え、
「峰岸さん、お客様ですよ」
と教えた。
さすが受付嬢、鬼顔が一変して美しい笑顔になる。
私は右京研究室へと向かった。