俺と、甘いキスを。

「お、お疲れ様です…」
私は呟いて、その場を離れようとした。
事務所はお昼休みをしようと、ちょうど社員たちが立ち上がったところで、右京蒼士が現れたことで一斉に注目を浴びてしまった。
そんな視線を全く気にしない感じで、彼は話を続ける。

「午後から打ち合わせがあるんだけど、頼みたい仕事があるんです。それ、お弁当ですよね?ちょうどいいから研究室で食べながら説明します。行きましょう」

グイグイと促してくる彼に、私は全身血だらけになりそうな、身を切られる痛い視線に耐えられず、
「いえ…昼食が済んでから、研究室に伺いますので」
と、周りに聞こえるくらいの声で遠慮する。
すると、右京蒼士はそっと近づいて耳打ちした。

「資料管理室は施錠されて入れないよ」
「…っ!」
昼休みの居所がバレていたことに、ギクリと体が固まる。
彼は見透かしたように、クスリと笑った。
「食後に美味しいミルクティーが飲めますよ」
と言って目を細めて、私の背中を軽く押した。
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