俺と、甘いキスを。
体に力が入らず、私は右京蒼士に寄り添う形になり支えられている。ゆっくりと背中を撫でる彼の手が心地よく、髪を優しく梳く彼の指が愛しく思ってしまう。
今までキスも、その先も意に沿わないながらも経験している。
既に十年以上前のことだ。
しかし、こんなに相手に引き込まれてしまいそうな、本当に食べられてしまうんじゃないかと思ったキスは初めてだった。
ただ「欲しい」以外、考えられないキス。
右京蒼士の胸に抱かれていると、終業時刻のチャイムが鳴る。
彼と一緒のところを誰かに見られたら、今度こそ何を言われるかわからない。
「…いかなきゃ」
働かない頭で、やっと言えた言葉。
右京蒼士は私の頭を抱き寄せ、耳元で囁いた。
「資料を作る場所を探しておく。決まったら内線する」
彼の小さな吐息に、ピクリと肩が反応する。それを面白がっているのか、彼はふっと笑う。
「はい…」
と、戸惑いながら返事をすると、右京蒼士の唇は私の額に触れるだけのキスを落とした。
ソファに置かれたお盆を持ち上げた時だった。
「…どういうこと?本当に付き合ってるの?」
その声に、背中がビクリと震えた。