俺と、甘いキスを。
ちなみは視線を私に向けた。
「この前教えたじゃないですか。彼女には気をつけるように、と。あの状況からだいたいの想像はつきますけど、今は右京さんとしっかり向き合って話し合うべきだと思います」
「うん、そうだよね…。心配かけてごめんね」
彼女の正当な言い分に、私も素直に受け止めた。
右京蒼士への想いをズルズル引き摺っていたのがいけなかった。
その結果が、これなのだ。
抱きしめられた時も、キスされた時も、いくらでも拒否することはできた。
「私の優柔不断な行動が、峰岸真里奈を傷つけた」
自分で自分をグッと抱きしめる。
彼女に可哀想なことをしてしまった。
「それは、違う」
後ろから声が聞こえて、ハッと息を飲んで振り向く。
ドアに立っていたのは、あのお揃いのマグカップを両手に持った右京蒼士だ。
「足の具合はどうだ?明日は土曜日だから、ゆっくり休めるだろう」
そう言って、マグカップをベッドのサイドテーブルに置く。
「ミルクティーだ。飲んで」
「…ありがとうございます」
マグカップを両手で支えて、口をつける。
口の中に広がる甘さに落ち着いた気がした。
コーヒーを啜った右京蒼士は苦笑する。
「事務長に怒られたよ。「結婚してるんだから、独身女性の接し方を考えろ」って。今回のことは、俺が花を過度にからかっただけで特別な関係ではない、ということにしたよ。まあ、あくまで表向きには、だけどな」
と、今後は変な噂はなくなるだろうと教えてくれた。