【女の事件】豚小屋

第5話

7月10日のことであった。

週明けのテレビの朝のワイドショー番組のトップで千種区の区役所の新人職員6人がムセンインショクで逮捕された上に、職場ぐるみで新人職員6人にかけマージャンや風俗店通いなどのお世話をしていたことが報じられた。

ひでのりは区長から無期限出勤停止を喰らった上に、サモン委員会が開催されるまでは自宅待機を余儀なくされた。

サモン委員会の対象は、ひでのりとひでのりの直属の上司とひでのりの直属の上司をカントクする立場の上司数人である。

この日、ひでのりはふとんの中にもぐり込んでふて寝をしていた。

ひろつぐの母親は『なさけないわね…』と言う表情で怒っていた。

そんな中であった。

ふさこがこの最近学校に来てないので、心配になった担任の先生が家に電話をかけてきた。

電話の応対は、ひろつぐの母親がしていた。

「もしもし…すみませんけど、本人に直接聞かないと分からないので…もう一度かけ直します…」

ひろつぐの母親は、大きくため息をつきながら受話器を置いた。

そんな時に、あずさがぼんやりとした表情で居間にやって来た。

ひろつぐの母親は、怒った口調であずさに言う。

この時、ひであきとほのかが幼稚園に行きたいと言うて泣いていた。

「あずささん!!ひであきとほのかが幼稚園に行きたいと言うているわよ!!ぼんやりしないでちょうだい!!」
「ああ!!ごめんなさい、ごめんなさい…」

そこへ、電話の着信音が鳴った。

あずさが電話に出た。

「多川でございます。」

電話は、愛知県警からであった。

「愛知県警…愛知県警がうちにどんなご用件でしょうか?」

愛知県警から突然電話がかかって来たので、あずさはパニックを起こしていた。

ところ変わって、小牧市にある警察署にて…

刑事課の課長さんは、あずさに電話でこう伝えた。

「もしもし…小牧の中央警察署の刑事課です…多川さんのお宅でございますか…大変おいそがしいところもうしわけございません…うちの警察署に…銃刀法にテイショクする容疑で逮捕した男が…3日ほど前に名古屋市内で女子大生を連れ去った事件を起こしたと言うていて…主犯の男が、多川さん方の息子さんだと供述しました…多川ひろつぐさんは、確か…執行猶予の期間中でしたねぇ…」

この時、ひろつぐが執行猶予の期間中に名古屋市内で女子大生を連れ去る事件を起こたと言うことが伝わったので、あずさはものすごい衝撃を受けた。

連れ去られた女子大生がふさえであったので、あずさは二重のショックを受けた。

ケーサツからの知らせを聞いたあずさは、全身が凍りついて動けなくなった。

「あずささん…あずささん!!」
「えっ?」
「あずささん!!一体何が起こったのか、説明してちょうだい!!」
「説明…」
「あずささん!!」

あずさは、ひろつぐの母親からの問いに対してケーサツからの知らせを言おうとしていた。

「おばさま…おばさま…ひろつぐさん…執行猶予…ああ!!間違い電話…間違い電話でしたわ…」
「本当に間違い電話だったの!?」
「おばさま!!本当に間違い電話だったのよ!!信じてください!!」

その中で、ひであきとほのかが幼稚園へ行きたいと言うて泣いていた。

「幼稚園へ行きたい!!」
「幼稚園へ行きたい!!」
「お友だちに会いたい!!」

ひであきとほのかが『幼稚園に行きたい…』と泣いているのに、あずさは『幼稚園はおやすみにします。』と言うた。

「ごめんね…幼稚園行きたい気持ちはわかるけど…今は…」
「イヤ!!幼稚園へ行きたい!!」
「お友だちに会いたい!!」

ひであきとほのかは、より強烈な声で泣き出した。

あずさは、イライラとした表情になっていたが、やさしい声でこう言うた。

「今日だけはおやすみよ…明日は行くことができるよ。」

しかし、ひであきとほのかの泣き声がより強烈になっていた。

あずさは、頭を抱え込んでその場に座り込んだ。

どうしよう…

ひろつぐさんが執行猶予期間中に凶悪事件を起こした…

ふさえとふさこが行方不明になっった上に、ダンナが区役所からキンシン処分を受けてしまった…

アタシ…

もういや…

ひろつぐが執行猶予期間中に凶悪事件を起こしたことが決定的となったので、ひろつぐの母親は急いで三島市から保護観察士の男性を呼ぶことにした。

ひろつぐの母親からの電話を聞いた保護観察士の男性は、新幹線に乗って名古屋へやって来た。

同じ日に、三島市の酒場街の露地裏で男性が亡くなった事件で、亡くなられた男性が2月に交通事故で亡くなった母子のご遺族の男性であったことが判明した。

ひろつぐがご遺族の男性をナイフで殺したことが分かった。

男性は、横浜地裁から執行猶予期間中に凶悪事件を起こしたひろつぐに執行猶予取り消しの通知書が発行されたと家族に伝えた。

その日の夜8時頃のことであった。

保護観察士の男性は、横浜地裁からの通知書を前にして、怒りに震えていた。

ひろつぐの両親は、しくしくと泣くより他はなかった。

保護観察士の男性は、怒りに震えながらひろつぐの両親にこう言うた。

「サイアクだ!!ひろつぐさんが執行猶予期間中に立ち直ることができると信じていたのに…こんな形で裏切られた…おとーさまは経営している縫製工場をつぶした…いとこは区役所でもめ事を起こしてキンシン処分中…ふさえさんとふさこさんが連れ去られて行方不明になっている…どうなっているのだ!!」

両親は、しくしくと泣きながら保護観察士の男性に言うた。

「先生…私たちは…どうすればいいのでしょうか…」
「あの時、定時制でもいいから…ひろつぐを高校に行かせてあげるべきだった…」
「それじゃあ、どうしてひろつぐさんを高校へ行かせなかったのですか!?」
「どうしてって…その時…義姉さんが追加分の金額を求めてきたのよ…」
「あんたたちは、最初から育児をする資格なんかなかった!!あんたたちのお人好しが原因で…ひろつぐさんの人生がズタズタに壊れた!!分かっているのか!!」

保護観察士の男性は、怒りを込めてひろつぐの両親に言うた後、大きくため息をついた。

そこへ、電話の着信音が鳴った。

ひろつぐの母親が電話の応対に出た。

「もしもし多川でございますが…」

電話は、ひろつぐからであった。

ひろつぐは『ひでのり出せ!!話があるから出せ!!』とひどくゲッコウしていたので、母親が泣きそうな声で『わかったわよ…』と言うた。

この時、受話器のスピーカーから豚の鳴き声がひっきりなしに聞こえていた。

母親は、ものすごく不安な気持ちになっていた。

「ひでのりさん…」
「おばさま…」
「あんたに電話よ。」
「電話って…」
「ひろつぐ…思い切りキレているわよ…早く出なさい!!」

ひろつぐの母親は、ものすごく怒った口調でひでのりに言うた。

ひでのりが電話に出た時であった。

この時、ふさえが遠方の地域にある豚小屋に監禁されていたことを知った。

「もしもし…」
『オラオドレ!!ひでのり!!』
「ひろつぐさん…ひろつぐさん…」

この時、豚小屋にいる豚たちがより不安定な鳴き声をあげていた。

「ひろつぐさん!!ひろつぐさん!!」
『オラオドレひでのり!!オドレの大学生の長女を連れ去った…ふさえはオレの学資保険を勝手に使って大学へ行った!!オラドロボー!!』
「ひろつぐさん!!」
『何や!!オレに言いたいことがあるのか!?』
「ひろつぐさんごめんなさい…ひろつぐさんごめんなさい…」

ひでのりは、しくしく泣きながら詫びていた。

しかし、ひろつぐはなおも怒り狂っていた。

ところ変わって、ふさえが監禁されている豚小屋にて…

豚小屋には、ひろつぐと黒い覆面をかぶって、黒のジャンパー姿の男10人がいた。

ふさえは、天井から吊り下げられたロープで両手首を縛られている上に、ベージュのインナーとショーツがボロボロになっている姿にさらされていた。

ひろつぐは、スマホで電話の向こう側のひでのりに怒号をあげていた。

「オラオドレドロボー!!悪いことをしたと思うのであればゼニ出せ!!ゼニ出せと言うているのが聞こえないのか!!…ふさえがどうなってもいいのか!!オラひでのり!!」

この時、豚小屋にいる豚たちの鳴き声がひどくなっていた。

「ひでのり!!逃げるな!!」

この時、電話は保護観察士の男性に変わったので、ひろつぐの怒りがさらに高まっていた。

ひろつぐは、保護観察士から言われた言葉に対して『ひでのりに変われ!!』と言うて、ひでのりを出せと要求した。

保護観察士の男性はふさえを解放するように強く求めた。

だから、話し合いがこじれた。

「オラオドレ!!何でキサマが出るのだ!?オレはドロボーひでのりと話し中だ!!変われ!!…何や!!もういっぺん言ってみろ!!もういっぺん言ってみろ!!」

保護観察士の男性は、電話の向こう側のひろつぐに必死の説得をしていた。

「ひろつぐさん…聞こえるか…ひろつぐさん!!」
『オレはドロボーひでのりを出せと言うているのだ!!』
「ひろつぐさん…」
『ひでのりのクソッタレ野郎がオレの学資保険をドロボーした!!そのせいで高校へ行けなかった!!』
「ひろつぐさん…ひでのりさんはごめんなさいと言うてあやまっているのだよ!!」
『何や!!もういっぺん言ってみろ!!』
「ひろつぐさん!!ひでのりさんはごめんなさい…」
『ふざけるな!!ひでのりの勝手が原因でオレは高校に行くことができなかった!!』
「ひろつぐさん!!それだったらどうして定時制高校に行かなかったのかな!?」
『高校の勉強なんか分からないから行くことができんかった!!ひでのりに言うておけ…今から…オドレの娘を殺すからと言うておけ!!』
「ひろつぐさんやめるのだ!!ひろつぐさん!!」

保護観察士の男性の言葉はひろつぐの耳には届いていなかった。

ひろつぐは、この後過激な行動に出た。

『ギャァァァァァァァァァァァ!!ギャァァァァァァァァァァァ!!ギャァァァァァァァァァァァ!!おとーさーん!!おとーさーん!!ギャァァァァァァァァァァァ!!ギャァァァァァァァァァァァ!!ギャァァァァァァァァァァァ!!』

ふさえの強烈な叫び声と同時に、豚小屋にいる豚たちがより強烈な鳴き声をあげていた。

電話はそこで切れた。

保護観察士の男性は『もう…ゼツボーだ…』と言うて、がっくりと肩を落とした。

ひでのりは、強烈な悲しみを受けた。

「ふさえ…ふさえ…うう…うう…」
「あなた…」
「こんなことになるのだったら…こんなことになるのだったら…うう…うう…」

あずさは、ひでのりにどのようにして声をかけてあげればよいのか分からずに困っていた。

そんな中で、再び電話の着信音が鳴った。

ひろつぐの母親が電話に出た。

「多川でございますが…」
『多川ひろつぐの父親を出せ!!多川ひろつぐの父親を出せと言うのが聞こえないのか!?』

この時、電話の受話器の向こう側で豚の鳴き声が聞こえていた。

もしかしたら、ふさこも豚小屋に連れて行かれたのかもしれないとひろつぐの母親は思っていた。

「もしもし…もしもし…」
『オレたちは多川ひろつぐの父親を出せと要求しているのだ!!』

容疑者の男がひろつぐの母親にひろつぐの父親を出せと言うて凄んでいた。

ひろつぐの母親は、父親に受話器を渡した。

「あなた…」
「分かった…」

ひろつぐの父親は、ひと間隔を置いてから電話の向こう側の相手に言うた。

「もしもし…多川ひろつぐの父親です。」
『多川ひろつぐの父親か…』

この時、ふさこが遠い地域にある別の豚小屋に連れて行かれたことに気がついた。

容疑者の男は、なおもこう言うた。

『多川ひろつぐの父親かと聞いているんだ!!返事もできんのか!!』
「もしもし…多川ひろつぐの父親です!!もしもし…」

ところ変わって、ふさこが監禁されている豚小屋にて…

ふさこは、ボロボロに汚れていてズタズタに破れてしまった制服姿で、口にさるぐつわをかけられて、両手首を縛られていた。

ふさこは、黒い覆面をかぶった男数人にサバイバルナイフで脅されていた。

リーダーの黒い覆面の男は、電話口の向こう側にいるひろつぐの父親にこう言うた。

「多川ひろつぐの父親だな!!オドレに警告だ!!ケーサツに言うたらオドレがかわいがっているオイゴの娘がどうなってもいいと言うことになるぞ!!」
『頼む!!ふさこに手出しをするな!!ふさこに手出しをするな!!』
「それだったらオレたちの要求に答えろ!!」
『要求だと…』
「オドレの不起訴魔のセガレを今から72時間以内にケーサツへ出頭させろ!!」
『ひろつぐをケーサツに出頭させろ…』
「オドレたち家族は、家族ぐるみで不起訴魔のセガレをかくまう気だな!!それだったらオドレのオイゴの娘がズタズタに傷ついてもいいと言うのだな!!」
『やめてくれ!!この通り頼む!!ふさこに手出しをするな!!』
「分かった…手出しはしない…その代わりオレたちの要求に答えろ!!」

この時、豚小屋にいる豚たちがより強烈な鳴き声をあげていた。

容疑者の男は、重ねて電話の向こう側のひろつぐの父親に対してケーサツに言うなと言ってからこう言うた。

『いいか…もう一度だけ言っておく…ケーサツに言うな…分かっているのであれば、72時間以内に多川ひろつぐを出頭させろ!!オドレのセガレは、今から16年前に千種区内の公立中学校でいじめを苦にして自殺した女子生徒のコを集団でいじめていたいじめグループのリーダーだ…16年前にいじめ事件を起こしたと言う前科がある上、他にも凶悪事件を起こして逃げ回っていると言うことも知っているからな!!分かっているのだったから72時間以内にケーサツへ出頭させろ!!またかけるぞ!!アバよ!!』

(ガチャ…)

電話は、そこで切れた。

保護観察士の男性はこう言うた。

「多川さん…」
「犯人グループは…ふさこを返してほしいのであればひろつぐをケーサツへ出頭させろと要求して来た。」
「多川さん…」
「どうしてこんなことになってしまったのだろうか…うう…」
「あなた…」

ひろつぐの父親は、がっくりと肩を落として震える声で泣いていた。

その一方で、小牧市の警察署で取り調べを受けている男は取り調べに対して、ふさえとふさこを監禁した場所を言わずにモクヒしていたので、捜査が行き詰まった。

愛知県警は、引き続き捜査に全力をあげているが、取り調べ中の男がモクヒしているのでどうすることもできない。

どうすればいいのだ…

どうすればいいのだ…
< 6 / 53 >

この作品をシェア

pagetop