~fault~私だけが・・・
忘れるから忘れろ?
覚えてねーなら忘れるも何もねーじゃん!覚えてねーんだから。
何もなかった?
そもそも何もないなら忘れるような事実はないだろ?
何もなかったから忘れる、そう言った渉が部屋を出る時に小さく言った「ゴメン」が耳に残って離れない。
小さな小さな渉の声だったのに・・・

何に対しても割り勘が当たり前のオレ達。
握りしめた金はちょうど半分。

「クッソ!」

歩きながら辿り着きふたりで見上げたそこは酔っていても分かるほど、そこそこのホテル。
フロントに行きエレベーターで行きついた部屋はキラキラと最高の眺め。

冷静に半分、フロントで確認した料金を置いて行った渉
お札をグシャグシャに握りしめながらも、ここでよかったって思ってるオレはもう戻れないのかもしれない。
酔った勢いだったとしてもラブホなんかじゃなく、ココで渉を抱いたこと。
プライドなのか何なのかわからないけど、こんな時にそんな事を思ってるオレはもう・・・


忘れるなんてできるわけねーよ・・・






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