雪の訪問者
彼女を惹き付ける、何かを、僕は持っていたのか

…あり得ない

ただの本好きな少年に、アイドルを惹き付ける魅力なんて、ありはしない

結局、それから卒業まで、僕は彼女と話をすることはなかった

できるだけ、彼女を避けていた

学校の廊下ですれ違っても、僕は彼女と視線を合わせないようにしていた

もっとも彼女は、いつも華やかな取り巻きに囲まれ、楽しそうに談笑しながら

僕の横を、通り過ぎていたけど

結局、卒業するまで、僕は彼女と話をすることはなかった

あれから10年

彼女の消息を、僕は知らなかった

同窓会には何回か出席したけど

僕と同じく、学年一のアイドルのその後を知るものは誰もいなかった
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