雪の訪問者
視線を少しずらす

入口付近に…誰かいる

彼女だ

交番の中を…僕を見ている

ちょっと寂しそうな表情で

この吹雪の中、傘もささずに

僕は弾かれるように立ち上がり、外の彼女に声をかける

「どうしたの?風邪ひくよ」

僕は交番の外に一人佇んでいる彼女を、中に招き入れる

吹雪の中で、彼女の体はシンと冷えきっている

彼女はちょっとだけ微笑んで、交番の中に入る

「あの…岩田くん…」

彼女が、おずおずと切り出す

「私、もう、行かなきゃ…」

「あ、ああ、そう、じゃ、送っていくよ
家、この近くなんだろ?」

この吹雪の中、傘も持たない女性を、一人で帰らせるわけにはいかない
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