雪の訪問者
「ごめん…違うの…」

違う?何が?

僕は、彼女の言うことの意味を図りかねて、心が揺れ動く

「私…今日が、最後なの
あなたに会えるのが、最後なの…」

「どういう、こと…?」

彼女は、引っ越すのか?

あるいは、結婚するから、もう僕には会えなくなるとか?

「最後に、あなたに会えて、良かった…」

そう言って、彼女は僕に向き直り

いつもの、弾けるような笑顔を浮かべる

いつもと違うのは…

彼女の両眼に、溢れんばかりの、大粒の涙が

「岩田くん…さよなら…」

「ちょ、ちょっと」

待って…その言葉を発するや否や、彼女はさっとその身を翻し、交番の外に飛び出す

吹雪の中に…
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