俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
もしかすると将来は、かなり上の地位までいくのではないだろうか。

騎士団長もパトリックに度々声をかけており、目をかけられている気がする。

石壁に背をあてているアリスは、目の前で素振りを始めたパトリックにため息をつく。

「期待されていて、いいな……」

おそらくアリスは、女性に限れば、かなりの強者であろう。

けれども選りすぐりの屈強な騎士たちの中では、圧倒的に能力不足である。

パトリックのようになれたならという憧れが口をついて出たら、チラリと横目で見られ、不満げに反論される。

「それを言うなら、アリュースの方だろ。ロイ騎士団長直々に、夜中まで個人指導してもらえるのは君だけ。羨ましいのはこっちだ」

(それなら、代わってほしい……)

初めて騎士団長の部屋に呼ばれた夜、股関節が壊れると思うほどに痛めつけられたが、日付が変わる前には解放された。

退室する前にもう一度部屋を見回したアリスは、書棚にぎっしりと並んだ本を見て、何気なくこう言った。

『外国語の本ばかり読んでいるのですね』

すると騎士団長は目を見開き、驚いた顔をした。

< 65 / 228 >

この作品をシェア

pagetop