俺様騎士団長は男装女子が欲しくてたまらない〜この溺愛おかしくないですか?~
(焦って損した。変な記憶は、頭を打ったせいなのかな……)

もしかするとコズメルに斬られたのは実際のことではなく、気絶後の夢の中での体験であったのかもしれない。

脳震盪の影響で、夢と現実が混ざってしまったのだとアリスは考え、納得した。

アリスの部屋の三倍ほど広い医務室にはベッドが六台置かれていて、ついたての向こうは診察スペースだ。

壁には乾燥させた薬草がかけられ、消毒用のアルコールの香りがほのかにする。

包帯やガーゼなど、治療に必要なものが整理整頓されて置かれている。

小さな引き出しが何十もある、大きな木製の薬棚が目を引いた。

騎士団の医師は医師長の他に三人いて、助手は六人いる。

騎士が負傷した際の治療と健康面の指導が優先的業務であるが、元から体が丈夫で屈強な若者ばかりなので、騎士たちが医師の世話になることはほとんどない。

医師たちは暇を持て余しているのではなく、王都の街の中に診療所を設け、貧しき者には無料で治療を施し、王立の医薬学院で後進の指導もしている。

今、医務室に医師長しかいないのは、診療所や学院へ出かけた医師たちが、まだ帰っていないからだろう。

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