如月くんは私をひとりじめしたい

「僕と付き合ってくれてありがとう。僕のこと、ちゃんと見てくれてありがとう……!」

「如月くん…」


このときばかりは如月くんが弟のような小さな存在に見えた。

可愛くて愛おしくて。

ずっと抱きしめていたい。

私がたくさん愛したい。

そう思わせる存在だ。


「小春ちゃん」

「なぁに」

「僕、約束破るね」

「へ?………んんっ!?」


如月くんはキスしてきた。

私と約束したことを破って。

でもそれも許せてしまった。

きっと周りは見ていない。

たとえ見ていても気にならない。

だって、如月くんのことしか見えないから。

ねえ、そうでしょ。

きっとこうやってキスしているカップルは周りの目なんて気にならないくらい相手のことが好きなんだから。

私、如月くんのお陰で分かったよ。

自分を愛すことは付き合っている恋人を愛すことだって。

相手を愛すことは自分を愛すことだって。

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