松菱くんのご執心
「そういうの、俺のいないとこでやってくんねえ。てか、早く帰ってくれよ。ここは、俺の家だ」


「もう、うるさいな秀ちゃんは」


「その呼び方やめろよ」


「そうですね、そこそこ長居してしまったから、もう帰りましょうか三木さん」



 二人はそう言って帰りの支度を始めた。




わたしも腰をあげて鞄を肩にかけようとした時、


「みかさにちょっと渡したいものあるから、ちょっと待ってて」と床を指さす。


ここに座れという意味だろうか。


「ああ、うん。分かった」



なんだろう渡したいものって、渡しにきたのはわたしの方で、その逆は全く心当たりがなかった。



 戸黒さんと三木さんは松菱くんに見送られて部屋を出た。


にやにや笑った三木さんに肘でつつかれている松菱くんの顔は、少し赤らんでいた。



熱上がってるんじゃないかと心配になった。



< 23 / 148 >

この作品をシェア

pagetop