恋泥棒の犯行予告
「はい」
『もしもし、って、橘?』
「そうだけど……」
なにか都合でも悪かったかなと思い、ヒナを揺すり起こすも、何の反応もなく、微塵も起きる気配がない。
こんな短時間で爆睡。すごいや。
『なんか生々しいわ。ヒナのスマホに橘が出るとか』
新婚かよ、と茶化す声が聞こえる。
「うるさいなぁ。で、何の用なの?」
こういう悪ノリは流してしまうに限る。
真面目に取り合ったら私が恥をかかされるだけだと経験的にわかっているから。
『今度の土曜さ、遊びにいかない? ちょっと海まで』