こぼれるほどの愛を、君だけに。【完結】
『け、契約したからにはっ』



「撤回は受け付けません!」



『そうじゃなくてっ。
 そうじゃ…なくて...
 撤回はしないけど、契約内容を確認しないと。
 それから、お互いの情報も共有して・・』



「そう・・ですね」




彼は、真っ赤な顔をしたまま
何やらボソボソとつぶやいた。




『なに?』




「よかった…
 拒否されるかと思った...」





『・・しないよ。
 ぎゃ、ぎゃくに
 そっちが撤回したい、って言っても
 受け入れないからねっ』





「...はい」





なんでもない、日常のひとコマ。




住宅街の路上で

私たちは、

恋人契約を締結(テイケツ)した。





やわらかい日差しが

前髪の奥の彼の瞳を照らし、

潤んだ、クリスタルのような目が

私のココロを捉える。


彼の瞳は

長い間

もう何年も忘れていた

熱くてとけてしまいそうなほどのエネルギーを

私の中に

惜しみなく注ぎ込む。







お互いに

力が抜けたように微笑む。






気を緩めたら、

なんだか泣いてしまいそうだった。

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