空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
「珍しいっ!さやとが笑ってる!」


さ、さやと?

この人さやとっていうの?

さやとくん...?

さやとくん...。

さやとくん...!


「あ、あの...あの、私...」

「ってか、君、この前ボール拾ってくれた子だよね?おれ視力と記憶力がめっちゃいいからさ、覚えてるんだよ!そうだよね」


私はここぞとばかりにうんうん頷く。

これは、運命。

そう、運命に違いない。

運命の再会をしたんだよ、私っ!

でも、何でこっちのお猿さんみたいな人が覚えてるの?

さやとくんが覚えてなきゃ、意味ないじゃん。

私はもう一度さやとくんを見つめる。

肝心のさやとくんは...まさかのフリーズ。


「おい、さやと。どうした?」

「覚えてない。じゃ、そういうことで」

「はっ?おい、ちょっと待て!さやと~!」


さやとくん、クールってかドライだ。

氷点下マイナス1000度だな。

笑ってたと思ったらすぐあの表情。

ふ~む、不思議。

そして、面白い。

私はノートの最終ページをちぎって自分の名前とクラスを書いて猿くんに渡した。


「すみません、これをさやとくんに」

「えっとぉ...知り合い?それともファン?」

「ファンということにしておいて下さい。それではよろしくお願いします!」


私は頭を下げてから急いで教室に戻った。

次の授業は持ってきた化学ではなく、体育の移動教室だった。

お握りを食べて、着替えして、体育館に行って...。

思ったよりハードスケジュール。

でも良かった。

名前、ゲット!

さやとくん...か。

なんとか仲良くなりたいな。

淡い期待を胸に、私は廊下を駆けたのだった。


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