空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
その日の放課後。

私は夏帆ちゃんと校庭に赴いた。

家庭科クラブの活動は火曜日と金曜日の2日しかないからそれ以外は自由。

夏帆ちゃんは塾、私は家でごろごろ。

しかし、これからは違う。

残り1年を切った高校生活を充実させるため私はさやとくんに全てを捧げると決めた。

失恋で粉々になった心も再製させてもっと大きな桜色の心にするんだ。


「あっ!海くん、ちょっと碧萌ちゃんが話があるって」

「何だよ。緊急以外は受け付けないぞ」


夏帆ちゃんには優しいくせに、私には厳しいんだね。

ふんっ。

そんなのもう知らないんだから。


「さやとくんいる?私、話したいことがあって」

「さやと?あぁ、この前人数足りなかった時に来てくれたやつか...」


ちょっと待って。

ということは...サッカー部じゃない?!


「8組の名波颯翔(ななみさやと)のことだろ?名波くんは帰宅部だ。この前は助っ人で来てくれたんだ」


そういうことか。


「わかった。ありがとう」

「おい、それだけかよ」


私はまだ話足りなそうな海くんに夏帆ちゃんというこれ以上ない最高のプレゼントを置いて帰った。

名前もクラスもとりあえず分かった。

なら、後は直接当たってみるしかない。

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