空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
暫く沈黙が続き、心配になった私は顔を上げた。


「颯翔くん...?」


彼の名前を呟くと、彼は静かに頷き、こう続けた。


「そう...だと思う」


その瞬間、私の心臓は破裂した。

ガラスが飛び散り、血管を傷付け、全身に鈍い電流が走る。

手に感じる痺れ。

冷えていく身体。

ガラスの破片が循環し、私の身体はぼろぼろになった。

頭が真っ白になり、意識が飛びそうになる。

それでも、思考回路は動きをやめない。

言葉を生み出し、選択を迫る。

私は選択し、言葉を発した。


「そうだよね。分かってた」

「瀬生さん...」

「だから、大丈夫。...って、言いたかったんだけど...無理だな。私、全然大丈夫じゃない。だって...」


だって...

だって...


「好き...だから。颯翔くんのことが...好きなんだ、私」


遂に言ってしまった。

言うべき場所を間違えたと思う。

本当は青空の下で、潮風に吹かれ、真っ青な海を眺めながら言いたかった。

しかも、私の想いと颯翔くんの想いがぴたりと合うって確信が持てた時に。

傷つきたくなかったから。

でもいずれ言う運命だったんだ。

ちょっとだけ早まっただけ。

そう思い込むしかない。


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