空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
カフェには実に様々な人がいた。

子供とかき氷を食べに来ている親子、巨大パフェをつつきあっているカップル、勉強中の女子高生4人組、1人で読書をしている女性、営業のサラリーマンと若い夫婦、そして年配の夫婦。

私と颯翔くんはこの人たちの目にどのように映っているのだろう。

私は注文したイチゴ味のかき氷を溶けない内にと思い、食べ進める。

正直ただならぬ緊張と傷口の痛みで味は分からないのだけれど、なるべくいつも通りを心がけて必死にぱくぱく食べた。

一方の颯翔くんはアイスコーヒーをちびちびと飲み、適度に体を冷やしているようだった。

私がスプーンを置き、ふーっと息を吐いた。

それが合図だったようで、颯翔くんが話し出した。


「青空のことだけど...」

「あっ、うん」

「青空はオレの幼なじみで...」

「あ、その辺り聞いたよ。颯翔くんの初恋の人で入院されてるからお見舞いに行ってるってとこまで」

「なら、それ以上何を...」


私は自問自答した。

あのことを聞くべきか、聞かざるべきか。

でも、ここまで来てしまったし、逃げてもいられない気がする。

悩んでいる時間がもったいない。

聞くしかないんだ。

体は冷えているはずなのに手に汗が吹き出てくる。

ポケットに手を突っ込み、気づかれないようハンカチを握りしめた。


「颯翔くんは...青空さんのこと...そのぉ...好き...なの?」


俯いたまま聞いた。

顔を見るなんて出来るわけない。

私だってわざわざ新たな傷を作るようなことしたくない。

けど、そうするしかないからしてるだけ。

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