空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
私は本当に方向音痴で、幼い頃はしょっちゅう迷子になっていた。
夏祭りでも1度迷子になった。
父からわたあめを買ってもらい、喜んで食べていた時は良かったのだが、その後夕焼けこやけの歌を歌いながらふらふらっと海の方に向かって行ったら案の定はぐれた。
途方に暮れ、夕陽を見ながら1人でわたあめに貪りついていると、私より細くて小さいもやしみたいに色白の男の子に声をかけられた。
「君、もしかして迷子?」
「まあ...うん」
「誰と来たの?」
「お父さんとお母さんと赤ちゃん。私の妹はね、まだハゲててね、ひなもちゃんって言うんだよ」
「ふ~ん」
「で、あなたは?あなたも迷子?」
「僕は迷子じゃない。お父さんと一緒に来た。向こうで人が倒れたからお父さんが治療してるんだ」
「お医者さんなの?」
「うん。僕のお父さんはおっきな病院で働くお医者さんなんだよ」
男の子は私の右手を繋いでくれた。
その温もりに安心して私は泣きそうになった。
「泣いちゃダメだ。泣くのはちゃんと両親を見つけてからだよ」
「うん...」
ぐずぐずしている私の手を引いて真っ直ぐに迷わずに歩いていく男の子。
その小さな背中が頼もしく見えた。
夏祭りでも1度迷子になった。
父からわたあめを買ってもらい、喜んで食べていた時は良かったのだが、その後夕焼けこやけの歌を歌いながらふらふらっと海の方に向かって行ったら案の定はぐれた。
途方に暮れ、夕陽を見ながら1人でわたあめに貪りついていると、私より細くて小さいもやしみたいに色白の男の子に声をかけられた。
「君、もしかして迷子?」
「まあ...うん」
「誰と来たの?」
「お父さんとお母さんと赤ちゃん。私の妹はね、まだハゲててね、ひなもちゃんって言うんだよ」
「ふ~ん」
「で、あなたは?あなたも迷子?」
「僕は迷子じゃない。お父さんと一緒に来た。向こうで人が倒れたからお父さんが治療してるんだ」
「お医者さんなの?」
「うん。僕のお父さんはおっきな病院で働くお医者さんなんだよ」
男の子は私の右手を繋いでくれた。
その温もりに安心して私は泣きそうになった。
「泣いちゃダメだ。泣くのはちゃんと両親を見つけてからだよ」
「うん...」
ぐずぐずしている私の手を引いて真っ直ぐに迷わずに歩いていく男の子。
その小さな背中が頼もしく見えた。