空よりも海よりもキミのことを知りたかった。
「それより青空さんの体調はどう?」


これ以上颯翔くんに話しても仕方がないから私は話題を変えた。

私の心にあるもうひとつのわだかまり。

気にしないつもりでもやっぱり気にはなる。

勝ち目のないライバルだけど...ね。


「青空は今は体調も安定しているみたいなんだけど、夏休みに入ったからお見舞いに行こうと思う。さすがにもう留年したくないみたいだから、勉強を教えにいく。だから8月中は隣県のおじの家にお世話になる」

「そうなんだ...。8月中ずっと?」

「学校が始まる4、5日前までには戻ろうと思ってる」


そっか...。

じゃあ無理だな。

私が軽く落ち込んでいたのが伝わってしまったのか、慌てて颯翔くんが話し出す。


「瀬生さんって...その...誕生日8月20日だよね?」

「あれ?私言ったっけ?」

「2通目の手紙に書いてあった」

「あははは。私書いてたんだ」


自分のことを知ってもらいたいって言ってたのに書かないわけないか。

思い返すと恥ずかしいし、痛いことしてる。

熱帯夜だからじゃなくて自分の行いが恥ずかしすぎて熱がじわじわ上がってくる。

思わず手うちわで顔を仰いだ。


「だから...その日は帰ってくる」

「えっ、いいよ別に。気にしないで」

「気にしないでって言われても気にする。あんなこと...言われたんだから」


私が告白したせいで颯翔くんの心労を増やしてしまったみたいだ。

本当に好きな人を想うなら、その人にとっての一番の幸せを願いながら黙って見守るべきだったんだ。

私、色々なことに後悔してばかりだ。

自分自身も自分の生き方も見直していかないとこの先も同じように後悔し続けるだろう。

そうならないためにもケジメはつけるしかない。

つまり、

この恋も

今夜で

終わり。

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